名古屋地方裁判所 平成元年(わ)2114号 判決 1990年6月13日
本店の所在地
愛知県豊田市元城町一丁目六九番地
大月観光開発株式会社
代表者代表取締役 須藤照雄
本籍
愛知県豊田市大清水町大清水一七九番地の四
住居
同県西加茂郡三好町大字三好字弥栄四一番地の一
会社役員
杉浦吏
昭和一八年七月二七日生
右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官松村玲子出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人大月観光開発株式会社を罰金一二〇〇万円に、被告人杉浦吏を懲役一年にそれぞれ処する。
被告人杉浦に対しこの裁判の確定した日から四年間右刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人大月観光開発株式会社は、旅館営業等を営業目的とする資本金五〇〇万円の株式会社であり、被告人杉浦吏は同社の取締役であつて、実質上の経営者として同社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上、
第一 昭和五九年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における、被告会社の所得金額が一億四一五八万四一九二円であつて、これに対する法人税額が、六〇三二万一〇〇円であるのに、同六〇年二月一三日、愛知県岡崎市明大寺本町一丁目四六番地所在の岡崎税務署において、同税務署長に対し、所得金額が七二三九万三六一八円であり、これに対する法人税額が三〇三六万四〇〇円である旨の、虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の行為により、右事業年度における正規の法人税額との差額二九九五万九七〇〇円をほ脱し、
第二 右同様、同六一年二月二四日、岡崎税務署長に対し、同六〇年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における、同社の所得金額が四八六四万二八一八円であり、これに対する法人税額が二〇〇七万六三〇〇円であるのに、同年度の所得金額が二五二万二六六九円であり、これに対する法人税額が七八万一〇〇円である旨の、虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて不正の方法により、右事業年度における正規の法人税額との差額一九二九万六二〇〇円をほ脱した
ものである。
(証拠の標目)
判示事実全部について
一 被告会社代表者及び被告人の当公判廷における各供述
一 被告人の検察官に対する供述調書四通及び大蔵事務官に対する平成元年一月三一日付け質問てん末書
一 那須美喜子の検察官に対する供述調書三通及び大蔵事務官に対する質問てん末書五通
一 久野保(三通)、後藤薫、鈴木浩子(二通)、杉浦荘二、杉浦妙(二通)、杉浦修、野村俊二及び勝田鎬二の検察官に対する各供述調書
一 那須美喜子及び久保保作成の各上申書
一 大蔵事務官作成の査察官調査書五通
一 商業登記簿謄本
一 押収してあるバインダーノート一冊(平成二年押第六号の一)
同第一の事実について
一 大蔵事務官作成の平成元年三月九日付け証明書二通及び脱税額計算書(いずれも判示第一記載の事実に関するもの)
同第二の事実について
一 大蔵事務官作成の同日付け証明書二通及び脱税額計算書(いずれも判示第二記載の事実に関するもの)
(法令の適用)
一 判示所為 いずれも法人税法一五九条一項
一 両罰規定(被告会社につき)同法一六四条一項、一五九条二項
一 刑種の選択 被告人につき所定刑中懲役刑選択
一 併合罪加重 被告人につき刑法四五条前段、四七条、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)
被告会社につき同法四五条前段、四八条二項
一 刑執行猶予 被告人につき同法二五条一項
よつて、主文のとおり判決する。
(裁判官 伊藤新一郎)